2010年12月22日水曜日

traffic accident

今日午後…職場の病院は大騒ぎでした。

そして、血の臭い…

その原因は…交通事故により、大量の外傷をおった患者が運ばれてきたためです。

救急とは関係のない看護師さんも、ヘルプで手伝いに来ていたりしていました。

それは、日本では経験したことのない医療ドラマの最終回の一場面のようでした。

あまりにも大きな事故?だったためか、国王までもが病院にきました。

事故の詳細は分かりませんが…
バスが横転してしまったようで、そこに乗っていた人たちが次から次へと病院に運ばれてきたようです。

自分は、現在MRI検査に参加しているため、既に撮影が終了していたこともあり、レントゲン撮影のヘルプをしていました。

みんな、感染予防のためゴム手袋をし、次から次へと患者を撮影しました。

撮影に使える部屋は2部屋。
※FPDを搭載したデジタル撮影機器があるが、フィルム代が高価という理由で稼働していない…

撮影終了で検査室外に出される患者、と入れ替わりに入ってくる次の患者…

今日、これを何回繰り返したのだろう…

手伝っている中でも、「もぉ~」と感じることが何回もありました!
・分かりずらいオーダー
・撮影機器は可動域が狭く、患者とストレッチャーを動かしポジショニングをしなければならない
・ストレッチャーにストッパーがない、更に不安定。患者に無駄に毛布を掛けてある
・機器の動きが鈍い
・撮影方法・ポジショニングの誤認識
・装飾品チェックが不十分で再撮影が多い
・撮影室の扉は開けっ放し、更に患者以外(トイレを使用)の人の出入りが自由
・フィルムもデジタルでないため、フィルム現像に時間がかかってしまい確認が遅れる
・他の職種との連携が取れていない

等が原因で、撮影をスムーズに進める事ができませんでした。

Drのオーダーも
全身の中から
・頭部2方向
・頸椎
・胸部
・肩
・肘
・大腿
・膝
・下腿
のようにはじからオーダーされていました。

技師側で一緒に撮影できるところはまとめて撮影し、時には追加撮影もしていました。

日本と比べ、劣っているところを挙げればキリがありません…

でも、そんな設備・システムが充実していないこの環境の中でも、みんながそれぞれ作業を分担し合い、スムーズに撮影を行おうとしていました。

・患者誘導
・受付
・撮影
・ヘルプ
・フィルム流し

自分は、ポジショニングのヘルプで参加していました。

普段からレントゲン撮影に参加しているわけではないので、撮影条件・設定方法を把握しきれていないので、それは普段から撮り慣れている現地スタッフに任せました。


改善点は沢山あります!

でも、こんな場面で自分の考える正解を相手に求めてなんていられません。

連携第一!

ここは日本じゃない…ブータンなんだから!

自分だってよくミスをします。

みんなだって、悪気があってやっているわけではありません。

でも「目の前の患者」「待っている患者」の両方を考え迅速に撮影していくように心がけていました。

それが大事なんだと思いました。

「技術」はいくらでも、補うことができます。

でも、患者を思う気持ち等の「意識」は、簡単に補うことはできません。


今日一日だけで…日本の医療が、どれだけ充実した設備・確立されたシステムの中でできているのかを感じる事ができました。

日本のように優れた人材・機器・システムを見習い、改善した方が良い点は沢山あります…

でも、それが果たしてこの国に合うかは分かりません。

この国には、この国のやり方が既にあり、その環境の中で経験し続け、働いている技師がいます。

自分一人だったら…今日この国の機器を使いきり、撮影をこなせていただろうか?

答えは「NO」です。

そんな現地の技師に敬意を払いながら、これからも一緒に業務を行っていきたいと思いました。


本当に…貴重な経験をさせてもらっている…そう感じる毎日です。


※追記
事故の詳細
事故現場:首都から約40km離れたところ
22人乗りのバスに、37名が乗車し走行していた。
ドライバーは若干22歳。そして、ドライバーのヘルプはなんと16歳。
その定員オーバーのバスは、ドチュラの急な坂を登るのも苦労していたよう。
そして、ドライバーがギアを変えようとしたところ、ニュートラルに入ってしまったようで、バスは坂道を後退した。
一人が、バスから降りて、輪留めにするための石を見つけようとしたが見つからず…バスはそのまま160mを落下してしまったよう。
そして、37名のうち9名が亡くなり、26名が怪我を負い病院に運ばれてきた。

とても、悲しい事故…。
当たり前のルールを守らないでいると…それは、いつか大きな事故に繋がる…

皆さんも交通ルールだけでなく、いろいろなルールを守れているか確認してみましょう!

5 件のコメント:

  1. ひどい事故だったんだね。
    撮影もお疲れ様。
    ストレッチャーにストッパーがないのはつらいね。
    日本での何気ない当たり前が、ブータンではそうではないのかぁ
    日本の充実振りがすごく良くわかる

    TMD

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  3. >TMDさん
    二日後に、政府から職員全員にLunchがご馳走されました!
    まぁ、いつものブータン料理ですが…
    撮影装置、撮影方法が十分でなくても、そんな中で彼らはきちんと対応している。この国に、何かを伝えたりできたら一番いいことなのだと思うのですが…必ずしもそれがすべてではないと思います。
    劣っていると決めつけて、一方的に日本的なやり方を押しつけるくらいなら…「二年間、ブータン人と一緒にいろいろな経験をした」それだけでもいいのかもしれません。

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  4. 交通事故、本当に怖いね。
    私もこの前、首都から任地への移動中に、バスが急ブレーキ&ハンドルを大きく左右に切って大きく揺れて、本当に怖い目にあいました。幸い何も起きなかったけど。
    バングラのバスも人数制限なんておかまいなしにつめていくし、追い抜かしたモン勝ち?みたいなところがあるから、いつ事故が起きてもおかしくない。本当に怖いよーー。
    ともあれ、お疲れ様でした!

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  5. >さえこさん
    コメントありがとうございます!
    元気にしているかな?
    最近のブータンでは、ネパールでの飛行機墜落事故に始まり、事故の話題が絶えない毎日です。これって、メディアが機能しているって証拠なのだけれども…。
    こっちもね「追い抜かした者勝ち」みたいなとこあります。しかも、ウィンカーとか適当だしさw
    さえちゃんも、異動でバスを使わないといけないからこれからもそういう経験しなきゃかもしれないけど…危険予測のことも常に頭に入れておいてね?

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